低リン血性くる病ナビ(医療関係者向け) > くる病診察室 >【治療編】家族性低リン血症性くる病の治療
くる病診察室
低リン血性くる病・骨軟化症の診療について、専門医がわかりやすく解説していきます。
参考文献 1)藤原 誠、大薗恵一:小児内科, 45(9), 1687-1690, 2013
家族性低リン血症性くる病に対する薬物治療は、経口リン酸製剤と活性型ビタミンD製剤の併用が基本となります。リン酸製剤は、リン酸として10〜30 mg/kg/日程度を分4で投与し、くる病の病勢を反映する所見(骨X線画像所見や血清ALP値等)の改善を目標とします。リン過剰を避けるため、血清リン値の正常化を目標とせず、リン負荷に反応して上昇する血清PTHが正常の2倍以上にはならないように投与量を調節します。活性型ビタミンD製剤の併用はリン値の補正と安定が目的ですが、尿へのカルシウム排泄増加もきたし腎石灰化のリスクとなりうるため、尿中Ca/Cr値の測定や腎エコーによるモニタリングが必要です。重症例では外科的治療が必要となることもありますが、一般的に薬物治療で症状は改善します。 なお、ビタミンD欠乏症として治療を開始したが改善がみられず、低リン血症性くる病と診断されるケースもみられます。診断編でご紹介した「くる病・骨軟化症の診断マニュアル」などを参考に鑑別を行い、適切な治療を行っていただきたいと思います。
家族性低リン血症性くる病に対する薬物治療は、経口リン酸製剤と活性型ビタミンD製剤の併用が基本となります。リン酸製剤は、リン酸として10〜30 mg/kg/日程度を分4で投与し、くる病の病勢を反映する所見(骨X線画像所見や血清ALP値等)の改善を目標とします。リン過剰を避けるため、血清リン値の正常化を目標とせず、リン負荷に反応して上昇する血清PTHが正常の2倍以上にはならないように投与量を調節します。活性型ビタミンD製剤の併用はリン値の補正と安定が目的ですが、尿へのカルシウム排泄増加もきたし腎石灰化のリスクとなりうるため、尿中Ca/Cr値の測定や腎エコーによるモニタリングが必要です。重症例では外科的治療が必要となることもありますが、一般的に薬物治療で症状は改善します。
なお、ビタミンD欠乏症として治療を開始したが改善がみられず、低リン血症性くる病と診断されるケースもみられます。診断編でご紹介した「くる病・骨軟化症の診断マニュアル」などを参考に鑑別を行い、適切な治療を行っていただきたいと思います。