低リン血性くる病ナビ(医療関係者向け) > 家族性低リン血性くる病について > リンに関する基本情報
リンは生体を維持するために必須の元素で、その恒常性は腸管からの吸収、腎臓からの再吸収、骨からの動員によるバランスにより保たれています(図1)。
▲図1:成人1日あたりの体内におけるリンの収支
井上 大輔:CLINICAL CALCIUM, 19(6), 778, 2009
これまで、リン代謝調節機構としては、PTHおよび1,25(OH)2Dが知られていましたが、これらに加えてリン利尿因子としてFGF(線維芽細胞増殖因子:Fibroblast Growth Factor)23が同定されたことにより、FGF23およびKlotho※がリン代謝調節におおきな役割を果たすことが明らかになってきました。
※:FGF23がFGF受容体を介してシグナル伝達を行うためには、共受容体のKlothoが必要であり、FGF受容体はKlothoと複合体を形成することにより、FGF23に特異的な受容体に変換されます。
FGF23は251アミノ酸からなる骨細胞により産生される分泌タンパクです。腫瘍性骨軟化症や多くの遺伝性低リン血症の患者において血清FGF23値は高値を示し、その発症に関与していると報告されています。
FGF23の作用は主に以下の2つがあります(図2)。
▲図2:FGF23の作用
難波 範行:小児科臨床, 63(6), 1083, 2010
以上の2つの作用により、FGF23は血清リン濃度を低下させます。