医療費助成制度について

監修:千葉県こども病院
ソーシャルワーカー 河野 司、五十嵐 真澄

家族性低リン血性くる病の患者さんの治療を支えるための医療費助成制度を紹介します。これらの制度の内容は各自治体によって異なることもあるので、詳細はお住まいの自治体にお問い合わせください。

小児慢性特定疾病医療費助成制度

小児慢性特定疾病医療費助成制度は、慢性疾患により長期の治療を必要とする児童の健全な育成をはかるため、医療費の自己負担の一部を助成する制度です。家族性低リン血性くる病も対象疾患に該当し、医療費の助成を申請することができます。
※家族性低リン血性くる病と同様に低リン血症をきたすファンコーニ(Fanconi)症候群も対象疾患に該当します。

対象

・18歳未満の児童が対象です。ただし、18歳到達時点において本事業の対象となっており、かつ、18歳到達後も引き続き治療が必要と認められる場合は、20歳未満まで対象となります。

・助成が認められるのは、厚生労働大臣が定める疾病の程度(※)に該当する児童となります。※低リン血性くる病では「治療で補充療法、機能抑制療法その他の薬物療法を行っている場合。
ビタミンDの維持療法を行っている場合も対象とする。」と定められています。

助成の対象となるのは、都道府県などの自治体が指定した医療機関(病院・診療所・薬局・訪問看護ステーション、など)で行った助成制度の対象疾患に関する治療に限られます。また、申請の際に必要な「医療意見書」を記載できるのも自治体が指定した医師(指定医)に限定されます(平成27年1月以降に申請される方が対象)。 指定医療機関、指定医は、自治体のホームページなどで公表されています。

自己負担上限額

自己負担の上限額は、保護者の所得や患者さんの状態(重症認定基準や人工呼吸器等装着者認定基準に該当する場合)などに応じて変わります。

平成27年1月から新しい制度となり、自己負担上限額(月額)が変更となりました。
ただし、従来の「小児慢性特定疾患治療研究事業」で助成を受けられていた方(平成26年12月31日までに手続きを行った既認定者の方)については、3年間の経過措置が設けられています。

自己負担上限額

※重症:①高額な医療が長期的に継続する者(医療費総額が5万円/月(例えば医療保険の2割負担の場合、医療費の自己負担が1万円/月)を超える月が年間6回以上ある場合)、②現行の重症患者基準に適合する者、のいずれかに該当。

※市町村民税は、患者さん本人が加入している医療保険上の「世帯」における市町村民税の金額を指します。

小児慢性特定疾病情報センターHPより

自己負担上限額の管理方法

助成が承認されたら、「医療受給者証」と共に「自己負担上限額管理票」が交付されます。指定医療機関を受診した際には、窓口で「自己負担上限額管理票」にその時々の自己負担額を記載してもらいます。自己負担の累積金額が、その患者さんの自己負担上限額(月額)に達した場合、その月は医療費を支払う必要がなくなります(小児慢性特定疾病の治療等を受けた医療費に限る)。

小児慢性特定疾病児童等自立支援事業について

平成27年1月から、小児慢性特定疾病児童の自立へ向けた支援が実施されることとなりました。小児慢性特定疾病に罹患している児童やその家族からの相談に応じ、必要な情報の提供や助言を行うと共に、関係機関との連絡調整などの事業を行うことを目的としています。

【実施主体】都道府県、指定都市、中核市

【事業内容】
必須事業:相談支援事業(療育相談指導、巡回相談指導、ピアカウンセリング、など)
     小児慢性特定疾病児童等自立支援員による支援
任意事業:療養生活支援事業、相互交流支援事業、就職支援事業、など

*詳細については下記サイトや自治体のホームページを参照ください。
小児慢性特定疾病情報センター

申請の流れ

小児慢性特定疾病の医療費助成を受けるには、お住まいの自治体への申請が必要です。千葉県こども病院に通院する患者さん(千葉県千葉市在住と想定)を例に申請の流れを紹介します。

①区の保健福祉センターで申請用の書類を入手 千葉市のホームページからダウンロードできる書類もあります

申請に必要な書類

1.
千葉市小児慢性特定疾病医療受給者証交付申請書
2.
疾病ごとの医療意見書
(小児慢性特定疾病情報センターWebサイトよりダウンロードできます)
3.
医療意見書の研究利用についての同意書
4.
市民税の所得割額を証明する書類
(市県民税課税証明書、市県民税決定(変更)通知書と明細書の写しなど)
5.
世帯構成が確認できる住民票(続柄入り)
6.
健康保険証の写し
・国民健康保険の加入者は世帯全員の写し
・国民健康保険以外の方は、患者と被保険者(被用者本人)の写し
7.
現在お持ちの「医療受給者証」の写し
8.
高額療養費適用区分の保険者への照会についての同意書

その他にも患者さんの状態に応じて書類が必要になることがあります。

②書類に必要事項を記入 「医療意見書」は指定医に記載していただきます。「医療意見書」を記載していただく際に文書料がかかる場合があります(千葉県こども病院の場合は3,020円)

③お住まいの区の保健福祉センター健康課に申請 医療受給者証は申請から1~2ヵ月を目安に交付されます。なお、医療費は申請が受理された日にさかのぼって支給されます。医療受給者証には有効期限があるので、継続して利用する場合は更新手続きが必要です。

自治体によっては「小児慢性特定疾病医療費助成制度」の医療受給者証を持っている方を対象に見舞金が支払われることがあります。詳しくはお住まいの自治体にお問い合わせください。

子ども医療費助成制度(自治体によって名称は異なります。)

子ども医療費助成制度は、お子さんが病気や怪我などにより医療機関を受診した場合の医療費を各自治体で助成する制度です。助成の内容(対象年齢、所得制限の有無など)は各自治体で異なります。詳しくはお住まいの自治体にお問い合わせください。

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