低リン血性くる病ナビ(患者さんとそのご家族の方向け)>P君のくる病解説>骨について・くる病について
骨は常に新しい骨に作りかえられています。古くなった骨をこわし、新しい骨が作られますが、最後にリン(P)やカルシウム(Ca)で骨を強くするためのコーティング(石灰化)をします(図1)。この石灰化において、リンとカルシウムはとても重要な役割を担っています。
リンやカルシウムは食事に含まれており、ビタミンDと呼ばれるビタミンにより体への吸収が促進されます。ビタミンDは骨の石灰化にも関わっており、リンやカルシウムと同様に重要な栄養素の1つです。
くる病とは
くる病は、O脚・X脚などの骨の変形や、転びやすいなどの歩行障害がみられる病気です。ビタミンDが作用しなくなったり、リンが不足することにより、骨の石灰化が妨げられることで起こります。くる病の中でも、リン不足によるものを「家族性低リン血性くる病・骨軟化症」※、ビタミンD不足やビタミンDが作用しないことにより起こるものを「ビタミンD欠乏症」、「ビタミンD依存症」と呼びます(図2)。
※:一般的に、「くる病」は小児にみられ、「骨軟化症」は成人にみられます。また、家族性低リン血性くる病は、「原発性低リン血症性くる病」、「ビタミンD抵抗性くる病」とも呼ばれることがあります。
リンが不足する原因
血液中のリンは、腎臓からの排泄(尿排泄)、腸管からの吸収、細胞内や骨とのやりとりによって一定の範囲に調節されています。
血液中のリンが不足する原因は、
尿中へリンが過剰に排泄される
食事からとるリンが不足したり、リンが腸管から吸収されない
血液中から骨や細胞内へ、リンが過剰に移動する
という3つに分けられます(図3)。
家族性低リン血性くる病のほとんどは「X連鎖性低リン血性くる病」
家族性低リン血性くる病は、3つの原因のうち、のリンが尿中へ過剰に排泄され、血液中のリンが不足することによって起こります。これは遺伝子の異常により引き起こされ、家族性低リン血性くる病は、原因となる遺伝子別にさらに細かく分類されますが、そのほとんどはX連鎖性低リン血性くる病(XLH)と呼ばれる疾患です。XLHは、男女に関係なく2万人に1人の割合で発症するといわれています。