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低リン血性くる病・骨軟化症の診療について、専門医がわかりやすく解説していきます。

【診断編】くる病・骨軟化症の診断マニュアルの解説

2015年4月、日本内分泌学会、日本骨代謝学会より「くる病・骨軟化症の診断マニュアル」が発表されました。本マニュアルの特徴は、「低カルシウム血症の鑑別診断の手引き」を用いて診断されてきた従来の診断方法から、低リン血症に焦点を当てたものとなっていることです。
ここでは、本マニュアルの内容を紹介するとともに、大阪大学大学院医学系研究科小児科学 教授 大薗恵一先生にくる病・骨軟化症診断におけるポイントをご解説いただきました。

本コンテンツは、日本内分泌学会、日本骨代謝学会より許諾を得て「くる病・骨軟化症の診断マニュアル」を転載しています。

くる病・骨軟化症の診断マニュアル

診断指針

くる病

大項目

  • a)単純X線像でのくる病変化(骨幹端の杯状陥凹、または骨端線の拡大や毛ばだち)
  • b)高アルカリホスファターゼ血症

小項目

  • c)低リン血症、または低カルシウム血症
  • d)臨床症状
    O脚・X脚などの骨変形、脊柱の弯曲、頭蓋癆、大泉門の開離、肋骨念珠、関節腫脹のいずれか

※ 年齢に応じた基準値を用いて判断する。

  • 1)くる病
    大項目2つと小項目の2つをみたすもの
  • 2)くる病の疑い
    大項目2つと小項目の2つのうち1つをみたすもの
骨軟化症※※

大項目

  • a)低リン血症、または低カルシウム血症
  • b)高骨型アルカリホスファターゼ血症

小項目

  • c)臨床症状
    筋力低下、または骨痛
  • d)骨密度
    若年成人平均値(YAM)の80%未満
  • e)画像所見
    骨シンチグラフィーでの肋軟骨などへの多発取り込み、または単純X線像での
    Looser’s zone
  • 1)骨軟化症
    大項目2つと小項目の3つをみたすもの
  • 2)骨軟化症の疑い
    大項目2つと小項目の2つをみたすもの

  • 除外すべき疾患
    癌の多発骨転移、腎性骨異栄養症、原発性副甲状腺機能亢進症

※※ くる病として発症した症例は、くる病の診断指針に準じる。

  • ○ 骨石灰化障害を惹起する薬剤使用例では、くる病、骨軟化症いずれにおいても、低リン血症、または低カルシウム血症の存在を除いて判断する。

POINT

  • くる病の診断では、単純骨X線像が重要であり、X線像でのくる病変化と高アルカリホスファターゼ(ALP)血症の存在が必須となる。このほか、低リン血症、低カルシウム血症、臨床症状の有無が重視される。
  • 骨軟化症では、画像診断は難しく、低リン血症または低カルシウム血症、高骨型ALP血症の存在が必須となる。そのほか、臨床症状、骨密度の低下、画像所見の有無が重視される。

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