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腫瘍性骨軟化症(TIO, tumor-induced osteomalacia)

腫瘍性骨軟化症(TIO)は、良性の間葉系腫瘍がFGF(線維芽細胞増殖因子:Fibroblast Growth Factor)23を過剰に産生し、リンの腎再吸収障害を起こし低リン血症となる後天性の疾患です。

疫学
厚生労働省の難治性疾患克服研究事業ホルモン受容機構異常に関する調査研究班によるFGF23関連低リン血性疾患の全国疫学調査では、国内の患者数は25人と報告されました1)。小児での発症はまれといわれています。

1)松本 俊夫:厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服事業 ホルモン受容体機構異常に関する調査研究 平成20~22年度 研究報告書, 2011

検査値
血清FGF23値は高値を示し、低リン血症を呈します。また、尿中へのリン過剰排泄が認められ、リン再吸収率(%TRP)※1低下ないしは尿細管リン再吸収閾値(TmP/GFR)※2低下をもって判断します。 その他の検査値はX連鎖性低リン血性くる病(XLH)と同様で、血清ALP値は上昇、1,25(OH)2Dは正常または低値、血清カルシウム値および血清PTH値は正常で推移します。
このようにXLHと検査値の推移が類似しているため、確定診断には原因病変の同定とその切除による病態の改善の確認が必要です。

※1:%TRP=[1-(血清クレアチニン×尿中リン)/(血清リン×尿中クレアチニン)]×100

※2:TmP/GFRはWaltonとBijvoetのノモグラムから求められる。

原因病変の同定
TIO惹起腫瘍は成長が遅い小腫瘍で、骨中に存在するものが多いことから、その発見が困難となる場合が多いといわれています。TIO惹起腫瘍の発見のためには、FDG-PET、MRI、CT、FGF23静脈サンプリングが有用とされています。
治療
TIOの惹起腫瘍が明らかになった場合には、腫瘍の摘出により病態は完治します。TIO惹起病変が明らかにならない場合や完全な摘出が難しい場合には、骨病変への対策として経口リン酸製剤と活性型ビタミンD製剤による補正療法を行います。

Fanconi症候群

Fanconi症候群は、腎近位尿細管の広範な機能障害により、通常は腎近位尿細管で再吸収されるリン、アミノ酸、重炭酸、ブドウ糖、尿酸などが尿中へ過剰に排出される疾患です。
原因は先天性要因と後天性要因に大別されます2)

2)関根 孝司:小児科診療, 71(2), 293, 2008

  • 先天性要因:シスチン症などの代謝異常症、ミトコンドリア異常症、Lowe症候群などのその他の遺伝性疾患
  • 後天性要因:抗腫瘍薬、抗生物質、バルプロ酸などの薬物中毒、鉛やカドミウムなどの重金属中毒、アミロイドーシスなどの全身性疾患
    また、B型慢性肝疾患患者へのラミブジン投与による耐性ウイルス出現に対して、アデホビル併用療法を長期にわたって行うことにより、腎機能障害と低リン血症をはじめとしてFanconi症候群を発症することがあります。
疫学
国内では患者数を推定するための調査は実施されていませんが、平成22年度の小児慢性特定疾患治療研究事業での登録患者数は23人でした3)

3)独立行政法人 国立成育医療センター研究所 成育政策科学研究部:平成22年度小児慢性特定疾患治療研究事業の全国登録状況 (http://www.nch.go.jp/policy/shoumann22/08-senntennsei22/h2208.htm

診断
タンパク尿、糖尿、低リン血症および低尿酸血症などが認められた場合には、Fanconi症候群を疑います。リン再吸収率(%TRP)、Fractional Excretion of UA(FEUA)、尿中β2microglobulin、尿中アミノ酸排泄量測定などを行い、溶質および電解質の再吸収障害が存在しないかを検討します。
治療
原因となる疾患または物質を特定し、原因に応じて疾患の治療、不足した溶質の補充を行います。 骨病変への対応として、経口リン酸製剤と活性型ビタミンD製剤による補正療法を行います。

未熟児くる病

未熟児くる病は、早産児で認められるリンおよびカルシウム不足からくる疾患です。
リンおよびカルシウムは、妊娠第3期に胎盤を通じて胎児に蓄積されますが、早産児はその時期を胎内で過ごすことなく出生するために不足します。

疫学
極低出生体重児では20~60%、超低出生体重児では50~90%に発症するといわれています4)

4)和田 和子:腎と透析, 69(2), 221, 2010

診断
単純X線検査での前腕骨の骨端の所見によって重症度を判定します。初期では骨濃度の減少がみられ、重症になるとくる病所見や骨折が認められます。
また、リン再吸収率(%TRP)でリンの過不足を評価します。
治療
治療はミネラルの補給を十分に行います。母乳中のリンやカルシウムは新生児期の未熟児にとっては不十分であるため、母乳強化パウダーを添加した母乳やリン・カルシウムなどが強化された低出生体重児用調整粉乳が用いられます。
ミネラル補給による治療をしてもリンやカルシウムの不足を認める場合には、活性型ビタミンD製剤や経口リン酸製剤が投与されます。

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