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O脚・X脚の患者さんが受診してきたら

O脚、X脚とは

乳児には生理的彎曲の時期があり、生後2歳までは生理的にO脚(概ね膝間で3cm以下)で、3~5歳は生理的X脚を示し、それ以降は成人の下肢に近づきます。
しかし、その原因に病気が存在する可能性があることや、体重を支えるのが不均一であるために関節が障害され、痛みを伴うこともあり、注意が必要になります。

O脚、X脚に関連する疾患

患者さんが受診した際には、O脚、X脚が生理的か病的かを判断します。病的なO脚、X脚は、以下の疾患が考えられます。

O脚
Blount(ブラウント)病、くる病、骨系統疾患、骨髄炎後や腫瘍・腫瘍類似疾患による変形、外傷後の変形など
X脚
先天性脊椎・骨端異形成症、Morquio(モルキオ)病、Ellis-van Creveld(エリス・ファンクレフェルト)症候群など

Blount(ブラウント)病

Blount病は脛骨内反ともよばれ、脛骨近位内側に限局した発育障害です。X線像では脛骨近位内側に限局した不規則な骨化、形成異常等がみられますが、骨幹端全体の毛羽立ち(フレイング)の場合はくる病を疑い、血液検査をする必要があります。発症時期によりinfantile typeとadolescent typeに分類され、infantile typeは生後1~3歳で発症し、歩行開始後に気付かれることが多くあります。一方、adolescent typeは6~8歳で発症します。

くる病

くる病は、ビタミンDの作用不全やリン欠乏による類骨および成長軟骨の石灰化障害によりおこる病態の総称です。リン欠乏により低リン血性くる病・骨軟化症が発症し、ビタミンDの作用不全によりビタミンD欠乏症およびビタミン依存症が発症します。

ビタミンDの作用不全によるくる病

ビタミンDは、肝臓や腎臓において活性型ビタミンDに変換され、その作用を発揮します(図)

図:ビタミンDの水酸化による活性型への変化 大薗 恵一:チャイルドヘルス, 14(2), 1008, 2011

▲図:ビタミンDの水酸化による活性型への変化

大薗 恵一:チャイルドヘルス, 14(2), 1008, 2011

活性型ビタミンDには、小腸におけるカルシウムとリンの吸収を促進、骨における石灰化促進、腎遠位尿細管でのカルシウム再吸収促進、副甲状腺におけるPTH産生を抑制などの作用があります。このような作用は、活性型ビタミンDと結合したビタミンD受容体が標的遺伝子の調節領域にあるビタミンD応答配列を介して直接遺伝子発現調節を行うことにより発揮されることが示されており、この経路のどのステップに異常があってもビタミンD作用が不足した症状が生じると考えられています。

ビタミンD作用不全の機序としては、ビタミンD欠乏およびビタミンD活性化障害が挙げられます(表)

▼ 表:ビタミンD作用不全によるくる病

ビタミンD欠乏 日光照射不足
栄養障害
吸収障害(胃亜全摘、短腸症候群、胆汁分泌不全、先天性胆道閉鎖症など)
ビタミンD活性化障害 1α水酸化反応の障害(ビタミンD依存症Ⅰ型)
腎性骨異栄養症
ビタミンD受容体異常 ビタミンD依存症Ⅱ型

木下 香, 皆川 真規:小児内科, 40(11), 1786, 2008 より抜粋・改変

リン欠乏によるくる病

骨系統疾患

骨系統疾患のうち、下肢の変形としてO脚を呈することが多いのは、軟骨無形成症、骨幹端異形成症(Schmid型)、偽性軟骨無形成症などがあります。

※:軟骨無形成症の患者さんとそのご家族による「つくしの会」が結成されており、患者さん同士の親睦を図るなど、さまざまな活動をしています。
http://www.tsukushinokai.net/

先天性脊椎・骨端異形成症

先天性脊椎・骨端異形成症は、体幹短縮型低身長を示す疾患です。

Morquio(モルキオ)病

Morquio病は、ムコ多糖症の病型の1つ(Ⅳ型)です。脊椎後彎・側彎、短胴型低身長、X脚、関節過伸展、環軸椎亜脱臼などの骨格病変が強く、角膜混濁、難聴、弁膜症なども認められますが、知能は正常です。

Ellis-van Creveld(エリス・ファンクレフェルト)症候群

Ellis-van Creveld症候群は、短肢性の低身長症で、軟骨異形成、毛髪、爪、歯などの形成異常、多指症および先天性心臓疾患を特徴とする疾患です。

診察の流れ

問診

問診では歩行開始時期、変形発症時期、食事・栄養状況、家族内発生の有無、外傷などの既往歴およびこれまでの治療歴などを聴取します。また、O脚変形、X脚変形が強い場合は歩行時の不安定感、易転倒性を訴えるため、歩行や運動障害の程度について問診します。

視診・触診

視診・触診では、身長・体重、膝内・外反角(角度計による計測)、両膝関節内顆間距離あるいは両足関節内果間距離の計測、対称性、歩容(うちわ・そとわ歩行)、脚長差、下腿内・外捻などをみて変形や障害の程度について評価します。くる病などの全身疾患にO脚やX脚が伴う場合には、その原疾患による他関節の変形などの症状を呈するため、全身を観察する必要があります。

単純X線検査

病的なO脚、X脚の診断には単純X線検査が有用です。単純X線検査では、両下肢の膝関節中心の立位正面像を撮影し、変形の程度を観察します。

患者さんへの説明

患者さんには、O脚、X脚は、まず原因をつきとめる必要があることを伝え、原因により経過観察だけでよい生理的なものから内科的治療や手術が必要なものまであることを説明します。そのうえで経過観察を行いながら変形の改善もしくは進行の状況により適切な治療法を選択していく必要があることを説明します。

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